【J1】第33節vsヴィッセル神戸 苦しくも勝ち取った1勝 ~奇跡を信じて、いざ最終節~ (2022/10/29)

 

 

2022シーズンも終わりが近付いてきました。

今節はフロンターレのホーム最終戦。

22,000人を超えるサポーターの後押しもあり、神戸に苦しめられるも何とか勝ち点3を拾うことができました!

 

残留を決めた神戸は、前半はかなりスローテンポで入ってきました。

残り2節で懸かるものがなくなったため、少し緊張感は欠けていたように見えましたね。

しかし、試合後の吉田監督のインタビューでもあったように、ハーフタイムで喝を入れられた神戸の守備に、後半はかなり苦戦を強いられました。

 

そんな中で決めた家長選手のPK

判定に助けられたという見方もできますが、1点をもぎ取る勝負強さが光った試合となりました。

このゴールで、優勝への望みが繋がったー!!

 

では、ホーム最終戦となったこの試合を振り返ってみましょう!

 

 

緊迫の90分₋予想はいかに₋

 

ホーム最終戦のこの試合も、ツイッターでこんな予想をしていました!

 

 

①、②は前半から強く意識されていたように思いますね!

ボールを奪いに行く守備よりは、神戸にボールを持たせることを選択したように見えました。

大迫選手へのマークも、谷口選手と車屋選手の2人で囲むことで、自由にボールを受けさせませんでした。

しかし、時々入る大迫選手のポストプレイで、何度か危ないシーンは作られてしまいましたね…。

 

③は、うまく連携を出せなかった印象。

さらに言うと、後半の神戸はこのスペースをしっかりと埋めることができていました!

神戸の守備の影響もあり、フロンターレは後半攻めあぐねてしまいました…。

 

詳しくは後程触れていきますので、まずは今節のスタメンを確認していきましょう!

 

 

怪我人が戻ってきたフロンターレ。神戸GK、坪井選手はリーグ戦初出場!

 

フロンターレは、怪我人や出場停止の選手が続々戻り、最終盤に人が揃えられるようになりましたね。

センターバックとシミッチ選手以外は、基本的には空中戦に強いタイプではないので、下からのパスをつないでの攻撃を軸に考えた布陣となりました。

そのため、センターバックに左利きで球出しの得意な車屋選手起用しましたね。

 

後半70分でジェジエウ選手を投入し、車屋選手を左サイドバックにスライドしたのは、ある程度予定していた交代だったのではないでしょうか。

終盤のフィジカル勝負になった時には、登里選手では分が悪いですからね。

失点はフリーキックからの1点のみだったので、安定した守備を90分見せてくれました。

 

 

対する神戸は、ゴールキーパーに坪井選手を起用!

来季を見据えた若手の起用でしたが、得点機を何度も阻止し、とても質の高いパフォーマンスを見せました。

足元の技術も高かったので、来期以降神戸のゴールキーパー争いは面白いのではないでしょうか。

 

それ以外でメンバーの変更は特になし。

攻め方、守り方も大きく変わりはなかったですが、前後半で全く別のチームに思えるくらいパフォーマンスは違いましたね…。

 

それでは、細かくプレイを見てみましょう!

 

 

【静かな前半】大迫封じ

  

では、Twitterで予想した①・②を中心にまずは振り返ります!

 

予想① 大迫選手に自由にボールを扱わせない

 

神戸の攻撃の中心は間違いなく大迫選手です。

大迫選手へのポストプレイ→汰木選手・武藤選手との連携

という攻撃パターンが多いです。

 

これに対して、フロンターレは谷口選手と車屋選手で上手く対応ができていました。

途中、大迫選手が登里選手と競り合おうと試みていましたが、神戸の選手同士で意思疎通が取れていなかったことと、車屋選手のカバーリングが適切だったので、事なきを得ました。

 

前後半共に大迫選手に良い形でボールが入ることがほとんどありませんでした。

しかし、プレスが上手く掛けられなかった時に、大迫選手と汰木選手とのホットラインを開通させてしまう場面がありました。

このホットラインが繋がると、ゴール前まで確実に迫ることができるのでとても脅威です。

 

これは、予想②と重なるところですので、併せて解説していきたいと思います。

 

予想② 相手センターバックから出されるパスに対して、前線はプレスを掛ける

 

神戸の攻撃は、個人の技術・質にかなり依存しています。

明確なビルドアップの形は無く、唯一決め事すのであれば【大迫選手に当てて、攻撃を展開する】ということくらいでしょうか。

そのため、前線の大迫選手へのパスコースを消すと、神戸ディフェンダーはパスの出しどころに迷ってしまう場面が多いです。

 

 

前からプレスを行わず、サイドバックに入ったところで追い込んでいく

 

上図のように、プレッシングには行かずに中央を狭くして構えて待ちます。

神戸の中盤へのパスコースを、前線と中盤で囲むように牽制しています。

そして、大迫選手にはセンターバック二人が付くと前方向へのパスコースは塞ぐことができています。

 

フロンターレとしては、あえてボールを持たせているという感じでしょうか。

こうなると、神戸のディフェンダー陣はパスの出しどころに困ってしまうので、サイドバックを経由する外回りのパスになります。

そこには、ウィングのマルシーニョ選手、家長選手がプレッシャーを掛けて、順次横スライドをすることで神戸のパスコースを塞ぎました。

 

前半25分のシーンは、まさにその典型でした。

左サイドバックの山川選手に出たパスをマルシーニョ選手が牽制し、サイドに流れた小林祐希選手に橘田選手中央山口選手にシミッチ選手で牽制ができたので、苦し紛れのロングボールを回収できたました。

この形は、鬼木監督も理想とした回収の形だったのではないでしょうか。

 

 

この【ボールを持たせる守備】を徹底していましたが、【ボールを奪いに行く守備】をかわされてしまった時はピンチを作ってしまいました。

 

前半31分①:フロンターレがプレッシングに行くが、中央の山口選手(赤丸)が空く

 

隙を見てフロンターレは【奪いに行く守備】を見せていました。

しかし、神戸は個人の技術力が高いので、個人技でプレッシャーを剝がす能力を全員が持っています。

 

上図は前半31分。

大崎選手にシミッチ選手と脇坂選手がプレッシャーを掛けますが、小林友希選手へのバックパスでいなされます。

脇坂選手がそのまま小林友希選手へプレッシャー。

 

坪井選手を経由してサイドバックに山川選手にボールが渡りますが、フロンターレの強いプレッシャーを苦にせずボールを運びます。

そして、山川選手へは橘田選手がプレッシャーに向かうことで、中央の山口選手(赤丸)が空いてしまいます。

 

前半31分②:後手に回ったフロンターレの守備。最終的に【大迫→汰木】のホットラインが開通

 

こうなってしまうと、フロンターレの守備は後手に回ります。

 

山口選手へプレッシャーに行くも、サイドの武藤選手がフリー。

中央をMFの小林祐希選手が駆け上がり、フロンターレの守備ラインを下げます。

その動きと逆を取った大迫選手。この受け方は上手かった…。

中央でフリーになった大迫選手から、サイドでフリーの汰木選手へパスを繋ぐ。

 

ゴールにはならなかったものの、汰木選手からセンタリングが上がり、チャンスを演出されました。

 

【ボールを持たせる】とパスの出しどころに困ってボールを奪うことができる。

【ボールを奪いに行く】と逆に空いてくるスペースを使われてチャンスを作られる。

 

神戸の選手の個人技が高いからこそ、奪いに行ってしまうことでピンチを招いてしまうのです。

広島戦、湘南戦でもこの傾向は出ていたので、鬼木監督は前半の守備の形は【ボールを持たせる守備】を選択したのだと思います。

 

事実、ポゼッション(ボール支配率)を見てみると、

川﨑神戸
48%ポゼッション52%
7シュート数1
6枠内シュート1

ポゼッション率は神戸が上回っているものの、シュートはフロンターレの方が打っておりチャンスをより多く演出しています。

現代サッカーでは、【ボールを持つことがリスクになることがある】とも言われますが、これを体現するような前半の数字になりました。

 

 

【動いた後半】神戸の守備

 

最後の予想③について触れていきます。

 

予想③ 右サイド3人の連携で、相手守備陣を崩していく

 

この予想③は、神戸の守備組織の弱点を突く具体案です。

再三述べているように、神戸は個人技の高さで攻守ともに形を作っています。

 

守備でも、サイドやニアゾーンなどのスペースを使われたとしても、ゴール前で体を張ってシュートを防ぎにいきます。

そのため、ゴール前では全員がボールにアプローチに行くので、その間の中間スペースが空いてくるのです。

 

前半11分:家長選手に付く酒井選手の後ろ(赤丸)が空いている

 

上図の前半11分の場面では、サイドの家長選手にボールを展開した時に酒井選手が付きます。

中央の神戸ディフェンスは、ゴール前を埋めるため中央に戻っています。(黒矢印)

 

ほぼ全員が中央に戻るので、酒井選手の後ろ(赤丸)の場所が空き、フロンターレの選手がフリーでボールを受けることができる状況ができました。

この時は橘田選手へのセンタリングを家長選手は選択をしましたが、脇坂選手を使っていれば決定機を作れたのは間違いないでしょう。 (赤矢印)

山根選手、脇坂選手、家長選手の3人で赤丸のスペースを使うのは、フロンターレの十八番と言ってもよい鉄板の形です

 

神戸の選手のモチベーションが上がっていないうちにこのスペースをもう少し突いていれば、複数得点で楽に試合を進められたかもしれません。

 

強度を上げた神戸の守備

 

この前半の内容に対して、吉田監督はハーフタイムに檄を飛ばしました。

たしかに、ミスの内容もかなりひどいものが多かったので、指揮官が激怒するのも無理はありません。

 

後半の神戸の守備は、中盤がよりタイトに強度高くプレッシャーを掛けていました。

 

後半は神戸が【ボールを持たせる守備】でプレッシャーを掛ける

 

前半にボールを持たされた神戸。

そのやり方をフロンターレにやり返したような形になりました

 

フロンターレが中盤にボールを渡そうすると、すかさず神戸の中盤3人がプレッシャーを掛けます。

サイドバックには、神戸の両ウィング(汰木選手、武藤選手)が圧力をかけるので、パスの出しどころが少なくなってしまいました。

 

61分に大島選手を投入しても、状況はなかなか改善されず…。

①神戸のプレッシング強度が上がる

②ショートカウンターを恐れてロングボールを多用する

③空中戦の強い神戸DF陣に回収される

このような悪循環が、後半の立ち上がりは続いてしまいました。

 

 

また、ボールを保持して中盤を突破することができた後も、神戸のDF陣は集中をしていました。

 

中盤を越えても、ハーフスペース(赤丸)をアンカーが埋める

  

上図のように、フロンターレのウィングにパスを出して中盤を越えた場面も作りました。

しかし、サイドバックが出て行ったスペースを、中盤の山口選手・大崎選手がきちっと埋めていたので、脇坂選手と山根選手のニアゾーンに走る動きがなかなか効果的に働きませんでしたね。

 

フロンターレは、このニアゾーンを取るのは得意としている攻撃の形です。

神戸の守備の傾向から鑑みても、決定機を多く作れることが予想されました。

 

しかし、神戸も対策を練っており、特に後半は神戸陣のスペースをことごとく埋められてしまいました。

後半早々に同点に追いつかれてしまったこともあり、フロンターレは攻め急ぎ神戸は落ち着いて守るという構図が出来上がってしまったのも、苦戦してしまった要因だったでしょう。

 

 

試合を決めた【2つの幸運】

 

そして、この試合を決定づけた2つの場面を見過ごすわけにはいきません。

 

試合が膠着状態になりつつあった後半の67分に、フロンターレが久々の決定機を作り出します。

この時、少し静かになっていた等々力競技場が一気に湧きましたね。

試合終盤に「勝ち越すぞ!」というエネルギーが注入されたような格好になりました。

 

スタジアム内のボルテージが上がり始めと同時に試合も動きました。

70分に神戸のゴールが取り消された場面と82分に家長選手がPKを決めた2つの場面。

フロンターレにとってはラッキーだったといえるこのシーンを振り返っていきます。

 

 

【幸運1】70分オフサイド

 

「終わった…。」

 

チョン・ソンリョン選手の頭上をボールが通過した瞬間、頭を抱えました。

 

小林祐希選手の綺麗な弧を描いたフリーキックは、菊池選手の頭を経由してフロンターレゴールに吸い込まれていきました。

個人の能力は全選手ずば抜けている神戸イレブン。

菊池選手の空中戦の強さも誰もが知るところだと思います。

 

ここでフロンターレが犯したミスは2つ

 

①ファーサイドの菊池選手・大崎選手に知念選手・山根選手をマッチアップさせたこと

②セットプレイのタイミングで選手交代を行ったこと

 

知念選手と山根選手が空中戦に弱いということではありません。

菊池選手・大崎選手が空中戦に強いのです。

ジェジエウ選手を投入したのであれば、ボールの軌道を見て競りに行かせてもよかったのではないかというのが私の意見です。

 

そしてもう一つ。

一般的に、セットプレイ(コーナーキック・フリーキック)の時の選手交代は良しとされていません。

選手交代によってマークする選手が変わり、それによって混乱が生じるのを防ぐためです。

 

この2つのミスもあり、菊池選手のヘディングがゴールに入るわけですが、ここで副審の旗が上がりました。

判定はオフサイド。神戸の選手も抗議します。

どうやら、菊池選手の後ろにいた大崎選手がオフサイドポジションで、一連のプレイに関与したとみなされたようです。

 

すかさずVARチェック。現場間ではすんなり流れてしまいました。

私も目を凝らして何度も確認しました。

 

・・・微妙??

 

あくまで推測ですが、オフサイドポジションにいた大崎選手が知念選手を抑えたことで、菊池選手にスペースを与えた、影響を与えたというジャッジだったのでしょうか。

ただ、大崎選手と知念選手の競り合いに関係なく、菊池選手は山根選手と競り合いを行ったように私は見えました…。

 

まず、この場面を冷静に見えていた副審はすごい!

ただ、オフサイドにするほど関与していたかは疑問が残ります…。

 

結局VARの介入はなし。

【Jリーグジャッジリプレイで取り上げて】とTwitterに応募すればよかったかな…。

このノーゴールは幸運でしたし、その後の展開を見ても非常に大きかったです!

 

 

【幸運2】78分PKの獲得

 

そして、幸運の2つ目。

こちらは【ジャッジリプレイ】できっちり取り上げられました。

 

78分、マルシーニョ選手から小林悠選手にパスを出し、競った小林友希選手が倒してフリーキック。

しかし、VARが介入し、ペナルティエリア内でのファウルと判定が変わり、フロンターレがPKを獲得した場面です。

 

私は「エリア内か微妙…VAR見るとエリア内だ!PKだ!」

と素直に思っていました。

 

ただ、よく見ると小林友希選手の左脚が不自然な動きをしています。

何と、小林友希選手の靴紐が小林悠選手のスパイクに引っ掛かったがために両者が転倒してしまいました。

 

これを見つけた人…すごいな…。

あの映像で瞬時に判断できた人に脱帽です…。

 

であれば、アクシデントとみなされノーファール!

判定が180度変わってしまいますね…。

 

【ジャッジリプレイ】の番組内で、元国際審判員の家本政明さんも、「個人的にはノーファール」と仰ったうえで、

現場では気づかないと思います。

それくらい緊張感があり、時間に追われているので、VARは基本的に主審の判断(ファウル)をフォローすると思います。

ー『Jリーグジャッジリプレイ』より要約

と桑原アナウンサーとの掛け合いの中で語りました。

厳密に見てしまうと誤審……しかし、現場での一瞬の判断は極めて困難な場面でした。

 

 

以上、2つの場面を振り返りましたが、厳密なジャッジをしようとした場合、結果は正反対のものになってしまった可能性があります。

シーズン最終盤、優勝が懸かった緊張感の中で審判に正確性だけを求めるのは酷なことかもしれませんね。

 

とはいえ、試合終盤に起こった2つの事象は、今回はフロンターレに味方をしてくれました。

【運も実力のうち】と言われますが、果たしてこのジャッジが優勝へのアシストになったのか…。

週末に答え合わせをしましょう!

 

 

優勝を懸けた多摩川クラシコ

 

今節の勝利により、優勝争いは最終節までもつれました!

ここまでよく健闘してくれました…。

マリノスをここまで追い詰めた鬼木監督の手腕、選手の頑張りにすでに拍手喝采で迎えたい気持ちです…。

 

とはいえ、ここまで来たのです!

やるでしょ3連覇!!

 

というわけで、最終節は優勝を掛けたFC東京とのダービーマッチ多摩川クラシコです!

多摩川を挟んで繰り広げられる伝統の一戦は2007年にこの名がつけられましたが、カウントは1999年のJ2元年からカウントされる歴史あるダービーマッチです。

 

[2-2]の引き分けから始まったこの対戦は、フロンターレの23勝12敗9分と優勢な対戦成績。

リーグ戦のみに絞れば、2017年以降10試合負けがありません!

鹿島アントラーズ以来のリーグ戦3連覇を成し遂げるためにも、この相性の良さを発揮させたいところですね!

 

マリノスが敗れ、フロンターレが勝利すれば優勝!

最終節、勝利で終わりましょう!

それでは、また次回です!

 

Vamos!Frontale!!

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