【J1】第29節 vsサンフレッチェ広島 絶タイ勝ちタイ上位タイ決! ~最年長&ルーキーが躍動~(2022/9/10)

 

シーズン終盤戦、マリノスを追い越して優勝をするには勝ち点3を取り続けなければならない状況において、今節の広島戦は本当に重要な一戦となりました。

対する広島も、逆転優勝への望みをつなげるためには、一試合も負けることが許されない状況。

 

「抱きしめタイ」というタイ王国にちなんだイベントで盛り上がっていたのとは裏腹に、緊張感のある試合序盤の攻防が観られました。

お互いに手の内を探りながら、相手の良さを消しながら自分たちの流れにもっていこうという思惑同士がぶつかり、予想よりは静かな試合の入りとなりました。

 

ゆう
ゆう

鹿島戦の緊張感を思い出させるこの試合には、20,800人ほどのサポーターが詰めかけていました!

 

結果としては、4-0の快勝!

後半は広島に全く主導権を握らせることなく、試合を進めることができていました!

 

 

運動量が多く、縦に早いサッカーを展開する広島を最大限警戒しながら、慎重に試合を進めていたのがよくわかる試合内容でしたね。

どのような戦術を用いてきたのか、ゆっくり振り返ってみたいと思います!

 

 

対策充分!攻守で広島を圧倒!

 

それでは、いつも通りスタメンから確認していきます。

 

佐々木旭選手が久々のスタメン! 広島は、絶好調川村選手を2列目で起用。

 

フロンターレは、ここ最近はメンバーをほぼ固定しています。

中盤のシミッチ選手、橘田選手、脇坂選手の組み合わせが非常にフィットしているので、ここを中心としたメンバー構成にしているのでしょう。

 

そんな中、左SBに佐々木旭選手が名を連ねました!

リーグ戦のスタメンは、7月9日、第21節のガンバ大阪戦以来!

約2か月ぶりのスタメンでしたが、攻守にわたりよく走っており存在感を充分見せたと思います。

左サイドでの攻撃では、マルシーニョ選手とのコンビで幾度となく広島DFを翻弄していました。

 

 

対する広島は、塩谷選手の退場により今節は出場停止。

代わりにスタメンに入ったのは住吉選手。フィジカルが強く、良いディフェンスを見せていましたが、若干マルシーニョ選手とのスピード勝負に翻弄された印象でした。

ただ、これからが楽しみな選手であることに間違いはないでしょう!

 

そして、個人的に注目していたのは川村選手!

リーグ戦ここ5試合で3ゴール。水曜日のカップ戦でも劇的な勝ち越しゴールを決めているため、フロンターレとしては要注意人物!

今節でも、広島唯一の枠内シュートを放ち、前半の3分にも決定機に絡むなど存在感抜群でした。

 

しかし、今節は真ん中のシャドーでの起用だったので、川村選手らしいダイナミックな動きはあまり見られませんでしたね。

その分、フロンターレは助けられたと言えるでしょう。

 

 

試合展開は冒頭でも述べた通り、お互いの探り合いから始まった序盤。

そして、フロンターレの隙をつこうとする広島と、広島の良さを消しながら主導権を握ろうとしたフロンターレのせめぎ合いとなり、とても見応えがありましたね!

 

それでは、具体的に鬼木監督がどのような戦術を取っていたのか観てみましょう!

 

 

ハイプレスをかわすロングボール

 

何度も同じことを言ってしまってますが、広島は前から連動したハイプレスを行ってきます。

特に奪われてからのカウンタープレスは、素早さと全員の連動性が相まって非常に強力なプレスとなります。

 

このサッカーのスタイルに対して、フロンターレのパスサッカーはあまり相性がよくありません。

前節の湘南戦のように、集団で奪われてそのままカウンターを受けてしまうと、フロンターレは為す術がありません。

広島は、連動した守備でボールを奪い、ショートカウンターで素早く点を取る展開をデザインしていたかもしれないですね。

 

これに対して鬼木監督は、必要以上に中盤を経由させないシンプルな展開を作っていました。

 

 

前から人を捕まえてくる広島DFの頭の上を越すパスで、プレスをかわしていく

 

前半18分の展開が「まさに!」という感じなのですが、

広島はほぼマンツーマンで人に付いていくことで、パスの出し所を潰していきます。

ボールを持っているプレイヤーのパスコースをかなり限定させ、パスが出たところ全力でプレスに行き、ボールを奪うプランです。

 

上の図のように、谷口選手がボールを持っていると中盤の選手には、広島の選手が付いていってしまっているのでパスが出せません。

もし、無理矢理パスを出してしまったら、自陣でボールを奪われてしまいゴールに直結するような展開になりかねません。

 

この時、谷口選手が選択したパスコースは上空です。

広島の中盤の頭を越えた知念選手へロングパスを出して、このプレスを回避しに行きました

これは、頑なに下から繋ごうとした前節湘南戦の反省も踏まえての戦術でもあるはずです。

 

広島の選手が前にプレスに来るということは、その後ろのスペースは必然的に空いてきます。

今節、そのスペースにいたのは知念選手です。

小林悠選手と異なり、前線で体を張ってボールを受けることができる選手です。

このシーンでも、谷口選手のロングパスを収めてチャンスを演出しています。

 

もう一つ意識的に狙っていた場所がマルシーニョ選手です。

ソンリョン選手からマルシーニョ選手へのパスというのも何回か見られましたね。

裏に大きなスペースがあればあるほど、マルシーニョ選手のスピードが活きてきます。

住吉選手とのスピード勝負が、前半だけでも何度か繰り広げられていました。

 

前からくるプレスをひっくり返して、むしろ自分たちのチャンスに変化させる。

細かくパスを繋ぐフロンターレですが、相手のスタイルによって自分たちのスタイルにも変化を加えることができることが、強さの証であるのかもしれませんね

 

 

大きなピンチを作らなかった守備

 

前述したロングボールによるビルドアップにより、広島の陣地内でパスを回す時間が多く、結果として広島からのカウンター、素早い攻撃というのを防ぐことができたフロンターレ。

 

とはいえ、全くカウンターを受けなかったわけではありません。

中盤でパスを引っ掛けられてしまい、広島にチャンスを作られてしまうシーンがありました。

広島は、主に攻撃参加をするSBの裏のスペースを狙った攻めを行っていましたね。

 

 

中盤でボールを奪い、攻撃参加していた山根選手の裏を狙う広島

 

上の図のように、フロンターレが中盤にボールを入れたタイミングで、広島は密集でボールを奪いに行きます。

奪ったところから、フロンターレのSB後ろのスペースに素早く配球するというのを再三狙っていました。

前半の26分がまさにこのような展開ですし、それ以外にも、試合を通じてこの場所は狙い続けていました。

 

ほとんどのシーンで、ジェジエウ選手が抜群の身体能力を活かして一人で解決してしまっており、改めてジェジエウ選手の能力の高さに感心してしまったサポーターも多かったと思います。

 

ただ鬼木監督は、前半の途中から右サイドにいる山根選手、脇坂選手、家長選手に攻撃の指示と一緒に、守備の時の立ち位置等を気にするそぶりを見せていましたね。

たしかに、狙った通りにこのスペースにボールを送られて、一歩間違えれば失点するところまで広島に良い展開を作られていましたので、気になるのも無理はありません。

 

そこで見せたのが、毎度おなじみ鬼木監督の対応力でした。

 

後半:家長選手をサイドに残して、山根選手が必要以上に前にでないように工夫

 

なぜ山根選手の裏が空いてしまうのか?

山根選手が攻撃に特徴があることはもちろんですが、縦のペアである家長選手のポジショニングにも影響されているからです。

右のWG起用が多い家長選手ですが、実際にはピッチ内を自由に動きながらビルドアップを助ける動きをします。

となると、家長選手は純粋にライン際の外にポジションを取っている時間の方が少ないため、家長選手のWGの場所に山根選手はポジションを取るのです。

このスペースの補完を行っているからこそ使われてしまうスペースなのです。

 

では、後半どのように対応していったのか?

答えはシンプルで、家長選手を右のウィングポジションから大きく動かさなくさせました。

 

家長選手がポジションを取ることで、山根選手は必要以上に前に出なくてよくなります。

きちっと最終ラインに4人揃うことが多くなり、広島が山根選手の裏のスペースを狙うことが明らかに減りました。

仮に狙われても、山根選手が対応できる範囲なので、ジェジエウ選手がの負担も軽減されています。

 

この前後半での対応力というのを、今シーズンも何度も見ています。

狙われたスペースに自分達がどうリアクションしているのか、それ対してどのように変更をするのか。

鬼木監督の洞察力と、鬼木監督のプラン変更を実行にすぐ移すことができる選手たちの対応力に、ただただ脱帽です。

 

 

今節のピックアッププレイヤー!!

 

チームとして広島にどう戦いを挑んだのかを振り返りました。

では、次はその中で特に輝きを放った選手が2人いましたので、「ピックアッププレイヤー」と題して振り返ります!

 

 

【家長昭博選手】文句なし!あんたが大賞!

 

今年35歳を迎えたベテランは、劣えぬフィジカルと技術、経験による判断で独特なボールタッチを披露し、ほとんどボールを取られることがありません。

右手で相手を制するのが巧みで、本当にボールを取られません…。

そして、ピッチを縦横無尽に走り、ビルドアップに上手に絡んでいきます。

 

今節はこの動きに加えて2得点を取るなど文字通り大暴れ!

得点ランキング2位となる10得点をマークし、フロンターレの攻撃に欠かせない存在であることを数字で証明することができています。

 

得点にはならなかったものの、後半にはバイシクルも見せてくれ、あわやハットトリックの大暴れ!

文句なしの【あんたが大賞!】受賞です!

 

 

 

【佐々木旭選手】久々のスタメンで抜群の存在感!

 

そして、今回久々のスタメンながらアシストも記録した佐々木旭選手をピックアップします!

攻守両面に置いてフロンターレらしい連携、連動が出来ていました。

 

33分:家長選手の先制ゴールをアシスト

 

こちらがその先制ゴールのシーンです。

相手陣まで押し込んでからは、かなり細かいパスで相手を翻弄していたフロンターレ。

広島の選手も、密集に対して壁を作るような感じで対応していたので、図の赤丸で囲ったようにフロンターレの選手へのマークとして真ん中に集団ができていました。

 

その集団を避けるようなサイドにきっちりポジションを取った佐々木選手。

脇坂選手をマルシーニョ選手との連携で斜めに抜け出し、知念選手がニアに入ったのを利用して家長選手へのアシストをしました。

 

パスのみならず、鋭いドリブルも披露しており、左サイドの攻撃の中心であったと言っても過言ではありません。

 

 

積極的にプレスに行った佐々木選手の後ろを橘田選手やシミッチ選手がカバー

 

また守備においても、SBの裏のスペースをよく狙ってきた広島に対して右サイド同様に上手く対応ができていました。

佐々木選手の場合は、設定位置が低いところから前に果敢にプレスに出ていきます。

元々対人が強い佐々木選手なので、持ち味を生かしたディフェンスができていました。

前にプレスに出た時、前述している通り自分の裏のスペースを広島に狙われています。

 

ここを橘田選手やシミッチ選手が埋めるといった周りとの連携、連動がきっちり取れていました。

登里選手が怪我でなかなか安定してピッチに立てない中で、佐々木選手の成長がこの終盤戦、さらにいうと来年の戦いにおいて重要なピースになってきます。

 

久々のスタメンながら、2か月の努力の跡がしっかりと見えたこの試合。

次節以降も、佐々木選手の活躍に大いに期待しましょう!

 

 

【因縁】いざ、敵地豊スタヘ

 

そして、次節は因縁の名古屋グランパスとの戦いです。

コロナによる延期分の試合ですが、この延期に関して物議をかもしました。

鬼木監督もこれに対して珍しく会見で意見していましたが、やっぱり納得感はないですよね…。

 

しかし、試合は開催されて、3連覇を懸けて負けられないのは変わらないです。

何としても勝って、引導を渡してやりましょう!

 

そんな名古屋との対戦成績は、24勝9敗8分と圧倒的に分が良いです!

アウェイでも13勝4敗4分と相性良し。

 

長谷川監督率いる名古屋は、守備が整理され永井選手という飛び道具を用意したカウンターで仕留めてくるはずです。

しかし、中心選手であったマテウス選手が怪我により戦線離脱。

前節神戸戦は決定力を欠きドロー決着でした。

 

攻撃の中心であるマテウス選手がいないのはフロンターレにとっては朗報。

左サイドの相馬選手のドリブル突破と永井選手のスピードこそ怖いものの、しっかりとボールを握れば負ける対戦相手ではないと思います。

 

今シーズンも残り2か月を切りました!

大事な最終盤、優勝を諦めずに戦い抜きましょう!

そして、10月は等々力に声援が帰ってきます!

今まで我慢してきた分を全てぶつけて、選手を後押ししたいですね!

 

それでは、また次節お会いしましょう!

 

Vamos!Frontale!!

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