佐藤主審の笛が鳴った瞬間
フロンターレサポーターが一斉に拳を天に突き上げた
全フロンターレ関係者が、この試合の勝利が意味するものを理解していました。
そして、攻められ続けながらも耐えました。耐え続けました。
20,000人を超える観衆が等々力に押し寄せ、不安、緊張、執念、プライド……。
色んなものが渦巻きながら、90分という時間が過ぎていきました。
試合前のスタジアムは、いつもと違い独特な昂揚感が感じ取れました。
これぞまさに【サッカーだな、スポーツだな】と思いました!
結果は2-1と辛くも勝利!
最後の10分は、緊張のあまりずっと力んでしまいながら観ていました(笑)
この緊張感も、現地観戦ならではですね。
そんな現地観戦が出来たこの試合、鬼木監督が見せた対応力を前半部で振り返り、
後半は個人的に印象に残った場面を、日記のような感じで振り返ってみたいと思います。
まずはいつも通り、スタメンを確認しましょう!
フロンターレは、ダミアン選手の怪我、ソンリョン選手の帰国などによりなかなかベストメンバーが揃わず…。
しかしそんな中でも、登里選手がスタメンに復帰してきました!
何と、私の現地観戦時の登里選手のスタメン率100%!!
何かの縁ですか!?それとも私に合わせてくれているんですか!?(んなわけ)
スタメンを見た瞬間にテンションがMAXになりました!
後半早々に戦術的な交代があったけど、知性溢れるプレイが今日も観られたね!
観ているだけで勉強になる選手の一人です!!
そしてゴールマウスを守るのは丹野選手!
今シーズン初スタメンも、落ち着いたフィードを見せてくれました!
夏男、小林悠選手に見せ場があまりなかったものの、献身的な動きで守備を引き締めてくれました。
対する鹿島アントラーズですが、匿名でしたがコロナ陽性者が出たという公式声明を発表。
匿名とはいえ、痛い場所に出てしまったな…と影響を感じざるを得ないメンバーになりました。
とはいえ、運動量やガッツで戦えるメンバーを揃えてきた岩政監督。
監督就任から3試合目でしたが、内容は一番良かったのではないでしょうか。
自陣でのファウルが致命傷になってしまったものの、ハイラインでコンパクトな戦いは見応え充分だったね
前後半で監督同士の駆け引きが繰り広げられたこの試合を早速振り返っていきます!!
前半:走り続けた中盤トリオ
登里選手が出場したことで、橘田選手が本職の中盤に入りました。
橘田選手が中盤に入ったことで、運動量の凄まじい中盤が形成されました。
ボールの位置に合わせてサイドへのスライドが早い!
空けたスペースへのカバーリングが早い!
攻撃に顔を出してから戻るのが早い!
鹿島にボールを持たれていましたが、試合をコントロールしていたのはフロンターレ。
それも、中盤の3人が躍動したからにほかなりません。
タスクも非常に複雑だったはずですが、見事に中盤を支配していました。
上の図は、前半の鹿島に多かった攻撃の展開です。
守備があまり上手ではない家長選手の後ろに小泉選手や廣瀬選手を置き、そこからのサイド攻撃という戦術を取ってきました。
サイドで起点を作り、中央のカイキ選手、鈴木優磨選手へセンタリングというのをイメージしていたかもしれません。
そんな戦術をさせる余地を与えないほど、今日の中盤はよく走りました!
図のように、サイドに出たら脇坂選手が全速力でプレス!
そして、センタリングが上がってきても良いように、シミッチ選手がCBの間に降りていく。
さらに橘田選手が空いている中央をカバーする。
この連動、連携が素晴らしかった。
まるで、岩政監督の手の内を知っていたかのように、それぞれの選手が動いていました。
山根選手もディフェンスに入るので、結局サイドでは手詰まりになり後ろに下げるか、無理矢理センタリングを上げるかという2択にさせました。
この状況に我慢しきれなかったのは鹿島のキャプテン、鈴木優磨選手です。
鈴木優磨選手には、具体的な役割は毎試合与えていないと思いますが、序盤は前線に構えてポストプレイを意識した場面もありました。
しかし、中央を固められて全然ボールが入ってこないと見るや、どんどんどんどん前線から下がってきました。
最終的には、図のようにDFラインまで下がってビルドアップに加わる始末。
正直、この位置にいる鈴木優磨選手であれば怖くありません。
前線のターゲットもカイキ選手のみで、対策しやすいです。
結局、前半のチーム内走行距離TOP3は中盤の3人が独占。
シミッチ選手は、90分で両チームトップの11.6㎞を走りました。
そして、フロンターレの中盤が奪ったボールを、家長選手やマルシーニョ選手に預けて時間を作ることができていました。
鹿島にボールを持たれた割には、ゲームをコントロールすることができた前半!
「受けてしまった」と反省の弁を述べるも、鬼木監督も手応え十分だったはず!!
鈴木優磨選手中心に回っている、しかし明確なタスクがないため、鈴木優磨選手のアイディアが尽きてしまうと攻撃もワンパターンになってしまう。
そんな典型的な展開を作ってしまった鹿島アントラーズですが、岩政監督も黙っていませんでした…。
後半:戦術変更で仕掛けた岩政監督 ➔ 素早く見極め判断した鬼木監督
試合後のインタビュー、高木インタビュアーから戦術変更の中身を突っ込まれ、
ノーコメントで
と苦笑いで答えた岩政監督。
新生鹿島の途上というところで隠したかったかもしれません。
しかし、隠しきれないくらいはっきりとした狙いが見えていました。
それは、自由に動き回っていた鈴木優磨選手を前線右サイドに張らせたことです。
ボールを受けに自由に動き回っていた前半の鈴木優磨選手。
後半は、前線に留まり本来のストライカーらしい位置取りをしていました。
図で示したように、フロンターレでいう左サイドの登里選手を狙い撃ち。
空中戦に持ち込んで、カイキ選手や安西選手でセカンドボールを回収し、フロンターレ陣内でのボール保持の時間を圧倒的に増やしました。
失点シーンは、和泉選手のサイド(フロンターレでいう右サイド)からアシストでしたが、この直前に鈴木優磨選手へのフィードが2回続けて出されていました。
後半開始5分で立て続けに狙われると、鈴木優磨選手を意識せざるを得ません。
鈴木選手への警戒心が、仲間選手の得点を誘発させてしまったね…。
このまま鹿島ペースで試合が進みそうになった時、鬼木監督がすかさず動きました。
空中戦にも対応できる車屋選手と知念選手を同時投入です。
今年からセンターバックで勝負を始めた車屋選手ですので、鈴木優磨選手との空中戦は五分五分の勝負に!
私の体感では、車屋選手の方が勝率が良かった印象!
併せてシステムも【4-4-2】へ変更し、サイドの人数を厚くすることで、簡単にセカンドボールを拾わせないように調整。
結果、鈴木優磨選手との空中戦でも対応ができました。
さらに、空中戦で負けたとしても、サイドに厚みを持たせるシステムに変更になっているので、セカンドボールに対するプレスやボールの回収を併せて行うことになるので、非常に効率よく守ることを可能にしました。
相手の戦術変更を見極めて、すぐに決断を下した鬼木監督の判断力と対応力に脱帽でした。
後半が始まってからわずか13分の出来事です。
登里選手の怪我のリスクを避けるためもあったかもしれませんが、この対応の早さは鬼木監督の特徴の一つです。
鈴木優磨選手はかなりエゴが強いので、周りを活かす【10番】よりも、ストライカー【9番】としてプレイされた方が敵としては脅威が増します。
「前半からやってくれなくて良かった…。」と心から思います。
戦術変更に対応したとはいえ、後半は鹿島ペースで押し込まれた展開になってしまい、鹿島の地力の強さを感じました。
山村選手を最終ラインに加えて何とか耐えきった、王者の意地とプライドでもぎ取った勝利と言えるでしょう。
前半と後半、それぞれ45分終えた感想はとにかく疲れた!
後半最後の10分は固唾を飲んで見守っていたため、笛が鳴った瞬間の安心感と脱力感…。
全サポーターが熱く見守っていましたが、唯一足りなかったものがあります。
それはチャント。
これだけの戦いがあった上でチャントが歌えたら……想像するだけで鳥肌が立ってきます。
徐々に声出し応援が試験的とはいえ実施されている。
等々力でも早く大声出して応援したい…!!
来シーズンは声出しできると信じて。
他にも、スタジアムにいたからこそ味わえたトピックスをいくつかあげてみたいと思います!
フロサポの心を一つにする【ペンライト】
【Paint it Blue!! Night】と称して、試合前にスタジアムを青く彩るペンライト!
声出し応援ができないコロナ渦で、スタジアムの一体感が選手に表現されます。
iPhoneの限界か…。(笑)
写真では伝わらない鮮やかさ、綺麗さがありますよね!
(なんか歌詞にありそう)
このペンライトも、場面が変わると違う一体感を生み出します。
実は、こっちの写真の方が見づらい…。
前半35分、マルシーニョ選手の鋭いカウンターを関川選手がファウルで止めたシーンにて
うーーーん、iPhoneの限界…。
分かりづらいですが、スタジアム中のペンライトが赤く点灯しています。
「DOGSOだろ!!!!」
という心の叫びを、声が出せない分ペンライトで全員が表現していました。
※決定的な得点機会をファウルで止めると一発レッドカードで退場になります。
佐藤主審とVARにこの思いは届かず、イエローカードに留まりましたが、DAZNの画面ではなかなか伝わらないワンシーンだったかなと思います。
カメラには映りにくい【ベンチワーク】
もう一つ、DAZNカメラには映りにくいところを切り抜きたいと思います。
これは鹿島がコーナーキックのチャンスを得た時のフロンターレベンチの様子です。
前半38分から終了まで、立て続けに4本セットプレイのピンチを迎えたフロンターレ。
その時、ベンチからコーチが大きくジェスチャーを交えて指示を送っていたのが目に入りました。
正直、具体的なことは分かりませんでしたが、
おそらく、ファーサイドのペナルティエリア外の所に廣瀬選手がポジションを取っており、そこが気になったのではないかと思います。
しきりに遠いサイドに何かしらの指示を送っていました。
ただフィールドも広いですからね。
指示もなかなか通りづらいです。ましてや、サポーターの手拍子などもありますからなおさら…。
何とか伝えようとスタッフが必死に指示を送っていると、
この日、第4審を務めた田中さんに「下がるように」と冷静に注意されていました(笑)
失点できない!という思いから生まれてしまった、少しクスッとするようなワンシーンでした。
(失点してたら笑えない…。)
コーナーキック以外でも、登里選手が知念選手に指示を出しているところや、控え選手のアップの様子などは、DAZNではほぼ映らないところです。
そんな発見ができるのも、現地観戦ならではですよね。
このようにスタジアムでしか味わえない雰囲気や、スタジアムだから気付くことができることなどがいくつも転がっています。
色んな事情があって、毎試合DAZN観戦になってしまっているサポーターも、新しい楽しみを見つけにスタジアムへ行ってみるのも面白いかもしれませんね!!
声出し応援解禁になればなおさら!!!!
そして、次節は水曜日開催にて、ホームにサガン鳥栖を迎えます。
前回対戦では、谷口選手がDOGSOで一発退場を喰らう苦い記憶が…。
そして勝ち点1を分け合いました。
鳥栖はチーム全員で走って走って走るチーム。
もしかすると、鹿島よりも組織的に走りまくる厄介な相手かもしれません。
フロンターレのスタイルとしては、走り合いとなるオープンな展開は避けたいところ。
今節のように、どちらかというとブロックを引いて無闇なハイプレスは行わないかもしれませんね。
登里選手、大島選手のコンディションは、連戦でも大丈夫なのか。
鳥栖のスタイルに対して、中盤の構成をどう組み立てていくのか。
前回対戦では、前半の鹿島同様に家長選手の裏のスペースを巧みに使い攻撃を組み立てられました。
この時も、後半からの選手交代により鬼木監督が上手く対応をしました。
今節のように、中盤がハードワークをすればある程度スペースは埋められますが、次節は連戦になるため始めから守備時【4-4-2】の可変システムを採用しても良いかもしれませんね。
マリノスを追い越すためには引き分けすら許されないような厳しい状況。
でも、3連覇を成し遂げるためには乗り越えていくしかない!
次節も現地に行けそうかな…。
白熱した戦いをこの目で見届けたいと思います!!
それでは、また次節お会いしましょう!
Vamos!Frontale!!