Jリーグも最終盤、大詰めになってきました!
「三連覇は厳しい」…一時期は大多数の人がそう思ったはず。
ですが、フロンターレは奇跡を信じさせてくれます!
等々力に熱気が戻り、結果・内容ともに圧倒し2連勝!!
この日のフロンターレは非常にアグレッシブに90分間戦うことが出来ていました。
京都の選手も、そのパワーに圧倒された部分があったと思います。
「心は熱く、頭は冷静に」
こんな言葉がぴったり当てはまる試合となったのではないでしょうか!
それでは、ゆっくりとこの試合を振り返ってみます!
スターティングメンバーを確認する前に、この試合の前、実はこんな予想をツイッターでしていました。
予想の自己採点は……50点くらいかな…?
もちろん予想通りの部分はありましたが、その上軽々両監督にいかれたという感覚です。
やはり頭の中で考えている戦略は相当練っているんだなと感じました。
Jリーグの最前線で戦っている指揮官の頭の中は違うなと感じたね。
予想って難しいな…。
と、少し凹んだところでスタメンの確認です(笑)
このシステムは予想通り、フロンターレと京都で同じ4-3-3。
選手の配置を相手と合わせる、いわゆるミラーゲームとなりました。
京都のフォーメーションは相手に合わせた上で戦っていくことが多いので、こちらは予想がしやすかったですね。
コンパクトに中央を使いながら攻めつつ、右サイドの白井選手のクロスがアクセントとなる組織的な攻撃が特徴です。
こちらに対抗しないといけないのがフロンターレ!
シミッチ選手が出場停止ですので、アンカーに橘田選手、一列前にチャナティップ選手を置き、守備的に走り回れる選手を配置していきました。
チャナティップ選手のパフォーマンスは全体的に良かったのではないでしょうかね!
少し走りすぎな面もありましたが、橘田選手、脇坂選手との距離感は保たれていました。
京都の攻撃は細かいパス回しでの中央突破が特徴的です。
この攻撃をどう食い止めたのか、早速内容を振り返ります!
【川崎】中央を締めた守備
それでは、京都の中央からの攻撃をどう食い止めたのか!
ツイートでの予想にも書いていますが、「中央を締めながらコンパクトに守る」というのが基本になります。
今季のフロンターレは、中盤3人の距離感が離れて守備を行ってしまうケースがあります。
その守備のままですと、京都の攻撃はストレスなく行えてしまうので、まずはここを修正しながら守る必要があります。
今節は、このコンパクトな守備は非常に質が高く行えていました!
京都の攻撃も、横幅を広く使いません。
選手間の距離を縮めてパス交換を行いやすくしているのと同時に、奪われた後のプレッシングを素早く行うために、横幅をコンパクトに保った状態で攻撃を行います。
これに対して、フロンターレも横幅を狭くして対応していました。
中盤の3人はもちろん、ディフェンスラインもコンパクトにすることで、京都に侵入させる隙間を作らせていませんでした。
ここで1つ戦略のせめぎ合いがありました。
京都の曺監督も、フロンターレが中央をある程度狭くしてくることは読んでいましたね。
なので、中央に縦パスを入れ込むことよりも、サイドに一度ボールを持って行った状態から攻撃を始めようとしていました。
監督同士の頭の読み合い…。
痺れると共に、「読んでいるよな」という悔しさも…。
サイドに展開した時に、フロンターレ守備の横の距離感が離れることを期待したのでしょう。
しかしさすが鬼木監督、そこも織り込み済みでしたね。
上図はサイドにボールが展開された16分の場面ですが、横幅をキープしたまま横移動!
白井選手にボールが入っても、その先にボールを入れる隙間がありませんでした。
このように横移動を全体で行うと、逆サイドの萩原選手(白丸)はフリーになるのですが、左サイドで圧縮させることを優先させたので完全に無視!
結果、ボールを後ろに下げさせるなど攻撃を停滞させることに成功しました。
そのバックパスにも、全体が連動することが出来ていたのは今節のフロンターレの闘志が見えましたね。
上図は23分、京都が攻める場所がないと見極め、福岡選手が一度密集から抜けてボールを受けたところからです。
前線のマルシーニョ選手、小林選手、家長選手の連動した前へのプレッシャーでGKの上福元選手にまでボールを下げさせています。
横幅を狭くして縦パスを入れる隙間を無くし、ボールを下げさせたところをすかさずプレッシング!
この連動、強度の高い動きに、前半の京都の選手は対応が出来ずに、フロンターレが圧倒的にボールを保持している時間が長かったですね。
これだけ狭いエリアをカバーされていたので、京都としては逆サイドの萩原選手にロングボールを蹴って打開するという手段があったはずですが、そういったボールはほとんど見られませんでした。
そういった左右の揺さぶりがなかったので、フロンターレとしても比較的守りやすかったのかなと感じました。
逆にフロンターレは、サイドチェンジなどの横の揺さぶりを頻繁に使って京都ディフェンスを翻弄していました。
先制点の生まれた攻撃も、中央からカウンターを仕掛けて、中央の小林選手からサイドの家長選手への配球がきっかけです。(②の予想)
先制点のコーナーキックも、一度左サイドに流れたところから、逆サイドに待っている谷口選手のヘディングが決まりました。
中央で狭くブロックを組むからこそ、横の大きな揺さぶりが大事になってきますね。
【京都】中央を割った後半
それでも、京都は【コンパクトで縦に速い攻撃】というスタイルを変えることはしませんでした。
後半にサイドチェンジのボールはありましたが、数本といったところでしょうか…。
あくまでも、前線の中央で待っている味方に鋭い縦パスを入れることを目指しました。
前半の24分に、井上選手から松田選手に縦パスがようやく1本入り、「やはり京都の狙うサッカーはここか」と感じた場面になりましたね。
現に、ここからコーナーキックを取れているので、自信のある形であることに間違いはありません。
そして、京都は5バックにフォーメーションを変えて後半に臨みます。
京都唯一の得点は、やはり縦パスがきっかけでした
5バックにしたことで、フロンターレの前線のプレッシングとの噛み合わせが変わります。
小林選手がGK目がけてプレッシングにいくも、31番の井上選手もケアしながら寄せるので、中央の川崎選手が空いてしまいます。
後追いで遠野選手がプレッシャーを掛けるも、麻田選手を経由して簡単に逆サイド(白丸)へ展開。
小林選手、遠野選手のプレッシングで、前線の選手とのバランスが変わってしまっているので、逆サイド(白丸)はフリーな状態でボールを受けることが可能となってしまいました。
水色の枠線で囲っているように、前半のコンパクトな形に比べると、変な形になっているのが分かりますね。
三沢選手、川崎選手は隙間を見て顔を出しているので、フロンターレは後手後手で追い回す格好になってしまいました。
そして、許したくなかった縦パスを川崎選手からイスマイラ選手に出されてしまいます。
前回対戦では、この位置でピーター・ウタカ選手にかなり背負われたので、フロンターレとしては同じ形をまた作られてしまいましたね…。
体の強い外国籍選手に背負われると、その先の展開を容易に作られてしまいます。
68分ではサイドに展開し、人数を掛けて狭い密集を作り(白丸)、ケアの行き届いていない逆サイドにパウリーニョ選手が入り込んで失点となりました。(赤矢印)
京都の良さ、特徴を消し続けたフロンターレでしたが、選手が変わり、フォーメーション(立ち位置)が変わったところで隙が生まれ、失点へと繋がってしまいました。
前線にイスマイラ選手が入ってからは、何本かチャンスに繋がる縦パスが入っていました。
イスマイラ選手自身も、「パスを出してくれ!」というような身振りを多くしていたので、曺監督の指示もあったのは間違いないでしょう。
試合内容は、コンパクトに守り、質・強度高く走ったフロンターレに軍配が上がりました。
お互いの戦略がぶつかり合う中で、注目しておきたいところがあります。
それは、フォーメーションの変化です。
選手の初期配置であり、その試合の戦略・戦術を考えるうえで重要になるフォーメーション。
この試合では、京都が前後半で大きく配置を変えてきました。
前半には手も足も出なかった京都ですが、後半は得点も取り、自分たちがボールを保持している時間も作ることが出来ていました。
フォーメーションの変化がどのような影響を与えたのか?
少し気になったので振り返ってみよう!
【前半】同配置での攻防
スタメンを確認したように、この試合の入りは4-3-3の同配置(ミラーゲーム)でスタートしています。
人数、配置が揃っているので、プレッシングを掛ける側としては非常に圧力を掛けやすい布陣になります。
特に京都のように、中央で狭い幅でパスを通そうとするチームには余計効果的になります。
前線3人のマークでいうと、
小林選手 ➔ 川崎選手(24)
マルシーニョ選手 ➔ 井上選手(31)
家長選手 ➔ 麻田選手(3)
この組み合わせでまずマークが可能です。
そして、GKにボールが入ると小林選手がプレッシング。
空いた川崎選手には橘田選手が縦移動で付く。
サイドにボールが出れば、山根選手が圧力を掛ける。(赤矢印)
というように、選手の過不足をあまり作ることなくスライドさせて対応ができます。
全部スライドしきると登里選手の逆サイドが空きますが、縦に攻めてくる京都相手であれば、そんなにケアしなくても問題ありません。
このようなプレッシングを前半にいくつか見せることが出来ていましたね。
上図は10分の場面です。
GKにプレッシングを掛けた小林選手をスタートに、横に異動しながら選手が出ていき、最後は中央の武田選手の所で橘田選手がパスカット。
ショートカウンターが成立していれば追加点、という場面になりました。
人数が同配置で揃っていると、フロンターレのテリトリーの中(青枠)でプレッシングが行えるので、京都としては非常に窮屈にプレイしている印象でした。
この場面でいうと、武富選手が脇坂選手が移動した後のスペース(白丸)に入り込むことが出来ると、また違った展開を生むことが出来たかもしれませんね。
【後半】5バックで対抗
このような窮屈な展開を作れたのは、フロンターレの見事な動きが成したものです。
しかし、J1残留に向けて負けられない京都ですから黙っているわけにはいきません。
5バックに変更し、人数比を少し変更したことで、ビルドアップの様子も変化させていました。
後半の京都のフォーメーションは5-3-2のような布陣になりました。
こうなると、
小林選手 ➔ 井上選手(31)
マルシーニョ選手 ➔ 荒木選手(8)
家長選手 ➔ 麻田選手(3)
と、京都ディフェンス3人との組み合わせに変わります。
前半に小林選手が見ることが出来ていた川崎選手は、中盤の橘田選手受け持ちます。
この状態で、小林選手がGKまでプレッシングに向かうとどうなるか?
各々自分のマークする選手が定まっていますから、単純に背後の井上選手が空いてしまいます。
フリーで持たれ、縦パスが出るのは怖いので、すかさず橘田選手が縦移動でプレッシングをします。
川崎選手から離れていくので、余ったところ(赤丸)にパスを出してカウンター・縦突破が可能となっていく。
立ち位置を5バックで変更させただけですが、人数をどこに割くかで攻守の優勢度合いは変化していきます。
戦略はあくまで変えずに、フォーメーションという戦術を変えることで対応をした曺監督のプライド、京都魂を見た試合でもありましたね。
ただ、フロンターレも終盤に4-4-2にフォーメーションを変えて、中央に人数を割いて対応していました。
この辺りの対応力も、さすが鬼木監督といったところですね!
そして、この試合の結果と同じくらい気になっていたのは日産スタジアムの動向。
他会場の結果がビジョンに映し出された瞬間、等々力競技場が湧きました!
何と0-1の敗戦!
83分に数少ない磐田のチャンス、カウンターを見事に完結させた得点を守り切りました。
まさに下剋上、残留への執念を見せました。
一方マリノスは、再三チャンスを作りながらもゴールマウスを割ることが出来ず敗戦。
残留を争うチームとの連戦は、やはり一筋縄ではいかなかったようです。
とはいえ、じわじわ差を詰めているフロンターレのプレッシャーがボディブローのように効いているようです!
これで残り2試合で勝ち点差2!
札幌戦で負けた時は諦めかけた優勝でしたが、マリノスの背中をようやく捉えることに成功!
奇跡を信じて、残りの試合に臨みます!
そんな次節は、ホーム最終戦となりますヴィッセル神戸戦!
こちらも残留に向けて気を抜けない状況にありながら、復調の兆しを見せています。
大迫選手・武藤選手も復調してきて、リーグ戦5連勝中。
ただ、京都に見せた質の高い動きを見せることが出来れば、フロンターレの勝利をグッと手繰り寄せることはできるはず!
何より、三連覇には勝ち続けるしかないんです!
マリノスも残り2試合厳しい試合が残っているので、奇跡を信じて最後まで応援したいと思います!
少し期間が空きますが、この勢いをキープして突き進みましょう!
Vamos!Frontale!!