【J1】第22節 vs名古屋グランパス 攻めあぐねた90分 ~三連覇から1歩後退~ (2022/9/14)

 

豊スタに鳴り響く両サポーターの声援。

ホームの声援を背に、90分間緊張の糸が切れることなく守り切ったグランパス。

それを最後まで攻略しきれなかったフロンターレ。

 

この試合、フロンターレのシュート数は7本、枠内はわずか2本に留まりました。

グランパスに大きな決定機を作らせず、終始押し切っていたからこそ、悔しさが残る一戦となってしまいました。

 

逆にグランパスは守備が素晴らしかったです。

後ほど振り返りますが、5-3-2のコンパクトな陣形を90分崩しませんでした。

カウンターの精度が高ければ敗戦まであったくらい、11人のインテンシティが落ちることはありませんでした。

逆にフロンターレは、広島戦からの疲労の色が70分くらいから見え始めてしまいました。

5分あったロスタイムも、足が重い選手が散見され、迫力ある攻撃とはほど遠かったです。

  

ゆう
ゆう

試合後の鬼木監督と選手達の表情が、この試合の意味を何よりも物語っていたね…。

 

というわけで、今回は組織的だったグランパスの守備にフォーカスを当ててます。

また、今季後半戦からレギュラーに定着しているシミッチ選手にもスポットを当てました!

ジェジエウ選手の復帰と同じくらいの貢献度、そして同じブラジリアンとして獅子奮迅の活躍を見せているシミッチ選手は、今節も大事なところに顔を出していました。

 

結果は前向きになれないかもしれませんが、試合内容自体は見応えのある好ゲームでした!

そんな試合を早速振り返ってみたいと思います。

 

 

崩し切れなかった名古屋の守備

 

それでは、いつも通りスタメンから振り返ります。

 

フロンターレは連戦ですがメンバー変更なし。名古屋はマテウス選手が怪我で離脱中。

 

 

まずはフロンターレ!

連戦ですが、前節からのメンバー変更はありません。

現状、中盤3人のセットは崩したくないというのが本音でしょう。

 

佐々木選手も引き続きスタメンです!

今節も良いプレイを見せてくれましたが、さすがに連戦では疲れが隠し切れない様子でした。

試合終盤、疲れで足が追い付かずに無理矢理ファウルにしてしまうシーンがありましたね。

ただルーキーであることを考えれば、フィジカルはこれから段々とついてきます!

ゆっくりと見守っていこうと思います。

 

さらに、マルシーニョ選手はこの日も絶好調!

左サイドの攻撃の中心として、存在感抜群!

あのループシュートさえ決まっていれば…。

 

とにかく、この日のフロンターレは半分疲労との戦いでもありました。

これだけの連戦と、メンバー固定であれば無理はありませんね…。

随所に良いプレイが見られたものの、最後の精度があまり良くなかったですね。

 

 

対する名古屋!

攻撃の中心であるマテウス選手が怪我で離脱。

そのため、攻撃にはやや迫力が欠けていた印象です。

 

しかし、それを統率の取れた守備でカバーしていましたね。

コンパクトな守備陣形、適切な守備のスイッチの入れどころなど、フロンターレのパスの通り道を上手く塞いだと印象でしょうか。

 

ただ、カウンターの精度があまり高くなかったですね。

スピードのある永井選手ですが、ボールの受け方、体の向きがあまり良くなく、きちっとボールを収められていませんでした。

この飛び道具が機能すると、名古屋はとても怖いチームになってしまいます…。

うちのマルシーニョ選手も、「決定力が…。」と言われていましたし…。(今は違いますね!)

 

 

それでは、名古屋の守備を改めて観てみましょう!

 

中央を閉めてパスコースを限定された

 

フロンターレの持ち味である【止める・蹴る】の技術。

そこから繰り出されるパスサッカー。

どんなに狭い局面であっても、個々人の技術力でボールを失わずに繋いでいきます。

 

しかし、相手の誘導によって予めパスコースを限定されてしまうと、いくら技術があってもボールを失ってしまいます。

今日のフロンターレは、そのパスコースの限定を上手くされてしまいました。

 

 

フロンターレの中盤を名古屋は5人で囲むことで、パスが外を回っていく。

 

名古屋は、常に前から強くプレスをかけるスタイルは取っていません。

どちらかというと、ハーフウェイライン付近で構えて、フロンターレの攻撃を受け止めていました。

 

その時の形が上の図です。

永井選手と仙頭選手がシミッチ選手を挟み、脇坂選手と橘田選手を名古屋の中盤3人が睨みを効かせているという状況でした。

谷口選手は中央に楔のパスを入れたいですが、これだけ囲まれていると中央にパスは出しづらいです。

そのため、パスは必然的にサイドの佐々木選手に出ることとなります。

 

この瞬間を名古屋は狙っていました!

 

佐々木選手に出た瞬間にウィングバックの森下選手が猛プッシュ!

後ろからのプレッシャーを佐々木選手は感じていますから、落ち着いてボールを受けることができません。

少し余裕をもって受けることができると、もうひとつ前のマルシーニョ選手に預けます。

ここにも、「待ってました!」とばかりに中谷選手が詰めていきます。

佐々木選手に出た段階でかなりパスコースが限定されているので、中谷選手も思い切って出ることができます。

 

 

この上の図の状況ほどきれいにハマったシーンは多くなかったですが、サイドにパスが出た時の寄せの早さは統一されていました。

中央の脇坂選手にパスが入って、ターンをして局面打開といったシーンが見られなかったのも、決定機が少なかった要因の一つかもしれません…。

 

名古屋は、前節の神戸戦も同じような守備陣形を取っており、守備の構築に優れた長谷川健太監督ならではの展開でした。

リーグで2番目に失点の少ない29失点であるのも頷ける内容でした。

 

 

フロンターレとしては、中央が使えないと見たら前節のようにロングボールを使ってみても良かったかもしれません。

CBの谷口選手やジェジエウ選手への寄せが強くないと、下からパスを繋ぐことに割とこだわる傾向があるようです。

 

【CBに強く寄せない ➔ パスを出すのを誘っている】

という見方も出来ますから、素直に応戦せずに、フィジカルの強い知念選手や家長選手にシンプルにボールを送った方が、攻めはスムーズだったかもしれませんね。

 

 

使い切れなかった《中盤の脇》

 

それでも、フロンターレは打開策を見つけようと試みていました。

その結果が、後半の60分の先制ゴールを生み出したのです。

利用したのは、5-3-2の【中盤3人の脇のスペース】です。

 

名古屋の守備は、中央を閉めていたのは先程も述べた通りです。

ただ、それはフロンターレのCBが自陣内でボールを保持していた時のこと。

ハーフウェイラインを越えてフロンターレが侵入すると最終ラインを下げ、より低い地で構える守備を取りました。

そして、ボールのある位置によって全体をボールサイドに圧縮させてボール奪取を試みていました。

 

ボールサイドにかなり圧縮を掛けていたので、ボールと反対のサイドにはスペースがかなり生まれています。

元々5-3-2の中盤3人の脇は空きやすい場所であり、どのチームも狙ってくるポイントです。

ここを使わせないように最終ラインと連携を取ったり、パスを出させないように強度高くプレスにいったり工夫をします。

 

 

左サイドの密集から抜け出した脇に、ジェジエウ選手がボールをもらいに受ける

 

60分のシーンは、家長選手もパス回しに加わり左サイドにかなり人が密集しました。

名古屋の選手はこの密集でボールを前に進ませずに、奪ってカウンターを行いたいところ。

しかし、フロンターレの選手は技術が高いため、この狭いスペースでもパスが回せてしまいます。

 

そして、脇坂選手が密集から外れたジェジエウ選手にパスを展開。

このジェジエウ選手が立っていたのが、名古屋の中盤脇のスペースに当たります。

相馬選手は山根選手を視野に入れてますから、ジェジエウ選手の場所までは出てこれません。

そのため、フリーでボールを受けてセンタリングを上げることに成功しました。

実際は知念選手のハンドのような気もしますが、VARの介入は特になく得点が認められました。

 

 

この脇を上手く使った展開というのが、ここから増えるかと思いながら試合を見ていましたが、ここを活用していくようなかたちはその後あまり見られませんでしたね。

このスペースは、いわゆる5-3-2の構造上の欠陥であり、上手に使うことができれば攻撃の展開はかなり楽になります。

どのシステムにもこのような欠陥は付き物です。

フロンターレの4-3-3でも、中盤3枚の脇は上手くウィングを下ろせないと空いてきてしまいます。

 

後ほど少し触れますが、第29節の浦和対柏でも、序盤に浦和が柏の中盤脇のスペースを利用したことで幸先よく2点を決めることができています。

 

このような欠陥や隙を抜け目なくつくことができれば、早い時間に2点目を取ることができたでしょう。

さらに、このペースを消そうと修正を掛けた場合は、それによってさらにズレが生まれてチャンスを作ることができたかもしれません。

 

 

所詮「たられば」の話ですが、自分達の形にこだわりつつ、相手の隙は強かについていく。

今節の名古屋戦は、フロンターレが主導でボールを持っている時間が多かったからこそ、自分達の使いたいスペースばかりが目に入ってしまったのかもしれませんね。

 

 

シミッチ選手:勝手に【あんたが大賞!】

 

残念ながら引き分けに終わってしまったこの試合。

しかし、相変わらずの安定感と輝きを放っていたブラジリアンが一人いました。

 

その名は、ジョアン・シミッチ選手!!

今季前半戦は橘田選手にレギュラーを奪われていましたが、その橘田選手がSBに回ってから出番が増え始め、以後安定したパフォーマンスでレギュラーの座を掴み直しました。

 

ゆう
ゆう

この試合でも、守備に攻撃にいぶし銀の活躍だったね!

引き分けたものの、勝手に【あんたが大賞!】を贈呈します!!

 

それでは、今日のシミッチ選手の活躍を振り返ってみたいと思います!

 

 

【ビルドアップ】あえて中盤に加わらない

 

中盤の選手なので、得点を取ることが少なければ、ドリブルで相手DFを翻弄してしまうことも少ないです。

この試合も、目立ちづらいかもしれませんが、縁の下の力持ちとして中盤に構えていました。

 

先程、名古屋の守備は中央を閉めることで、フロンターレのパスコースを制限していたと述べました。

これに対して、パスが思うように動かないことを察知して動きを見せたのがシミッチ選手でした。

 

 

中盤の密集を避けてボールを散らすシミッチ選手

 

いくら技術があっても、パスを出す場所が分かっていればボールを容易に奪うことができます。

その形を、名古屋の守備は作っていましたが、シミッチ選手が最後尾に降りてくることで名古屋のマークが少し乱れました。

マークしていた選手の一人が、移動していなくなってしまったのですからある意味当然です。

 

そして、後ろで受けたシミッチ選手は、サイドの選手への中距離のパスを出すことで、名古屋守備陣のプレッシャーを回避しようと試みました。

前半40分、橘田選手が外してしまった決定機のスタートは、このシミッチ選手からでした。

 

中盤から降りてジェジエウ選手にパス。

名古屋の選手がプレスを掛けに前に出てくる。

サイドの山根選手にパスを出し、ダイレクトでゴール前に走り込んだ橘田選手へパス。

 

この一連の流れを作り出し、前半43分50秒には家長選手へロングパスを送っていました。

 

相手の守備陣形を見て、あえて中盤に加わらずにビルドアップを行った判断力はさすがでした。

残念ながら、この動きも後半継続して行えたわけではなかったです。

後半は、名古屋もプレスの方法を少し変化させてきたりということもありましたが、シミッチ選手のポジショニングの妙が光ったシーンでした。

 

 

【ポジショニング】カウンターの芽を摘む位置

 

攻撃の次は、守備でのポジショニングに注目します!

 

名古屋は5バックを敷き、前線に永井選手を置いていたので、攻撃はカウンターを狙っていたのは明らかです。

このカウンターの芽を摘むための危機察知、ポジショニングが絶妙でしたので紹介していきます!

 

 

前半20分:レオ・シルバ選手の縦パスをシミッチ選手がパスカット!

 

前半20分、左サイドからの突破を防がれ、ジェジエウ選手が右サイドからパスを試みたシーンです。

上の図は少し簡略化しているので分かりづらいかもしれませんが、先程から述べているように、名古屋の守備は中央を閉めているので脇坂選手へパスを通すにはかなり正確なパスが要求されます。

案の定、名古屋DFに引っ掛かり、レオ・シルバ選手から縦パスで一気にカウンターが始まる瞬間のシミッチ選手の動きに注目してみてください。

 

まず一番危険な縦パスのコース、仙頭選手へのパスコースを消すようなポジショニングをすぐに取りました。

これで、永井選手はCBが見ていたのでゴール前に直結するパスコースを確実に消せました。

 

カウンターを成立させるための残るパスコースは、同じ縦の重廣選手と稲垣選手。

この時、シミッチ選手は仙頭選手のパスコースを消しながら重廣選手にパスが出た時のケアも同時に行っていました。

 

結果、レオ・シルバ選手のパスをシミッチ選手がカットして事なきを得ています。

残念ながら、フロンターレの得点には繋げられませんでしたが、名古屋のカウンターを見事に潰したワンシーンでした。

 

この少し前、前半17分にもランゲラック選手から相馬選手に渡った際も、カウンターを減速させるように相馬選手の正面に立ち、縦の突破を封じていましたね。

 

ゆう
ゆう

攻守において輝きを見せたシミッチ選手に、私から勝手に【あんたが大賞!】を送ります!!

 

 

《勝ち点差5》を追う《残り6試合》

 

とはいえ、リーグ戦は佳境を迎えつつあり、首位マリノスとの勝ち点差は5に広がりました。

優勝を諦めるにはまだ早いですが、マリノスの強さを考えると1歩後退してしまったのは事実です。

 

《残り6試合》で《勝ち点差5》

この数字、見覚えあるサポーターは多いかもしれません。

2017年、フロンターレが初優勝した時の首位鹿島との勝ち点差、残り試合と全く同じ状況なのです!

初優勝を成し遂げた当時と同様、初の三連覇を成し遂げる前兆なのか、偶然なのか…。

 

まずは、次節柏戦に全集中です!!

 

柏は前節浦和に惨敗。

中盤の配置が上手くいかずに、中盤の脇やハーフスペースの空間を上手く使われての4失点。

前半途中から、5-4-1のブロックで中盤3人の脇を埋めるも、DFと中盤の間のスペースが不必要に空いており、終始浦和に主導権を握られました。

 

次節、脇坂選手の負傷と山根選手の出場停止により、2列目は遠野選手と瀬古選手の起用が予想されます。

この二人が柏の守備陣形の穴を見つけ出し、ボールを上手く引き出せるかは鍵を握りそうですね。

山根選手の穴は橘田選手が埋めてくれるでしょう。

中盤の人員が変化するので、シミッチ選手の負担は増えると思いますが、何とか守ってくれると信じています…。

 

 

柏戦が終われば、インターナショナルマッチウィークに入り、代表に入っていない選手はまとまった休暇が取れます!

勝って気持ちよく休暇を迎え、三連覇への英気を養ってもらいましょう!!

 

それでは、明日の柏戦もお見逃しなく!!

勝つぞーーーー!!

 

Vamos!Frontale!!

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