ACLグループリーグ第5節 vs蔚山戦

突破が遠のく痛い敗戦…。

またしても苦汁を舐めました…。それもかなり苦めの…。

日本時間4月27日18時キックオフの第5節。2-3、スコア以上の敗北感…。

蔚山はこの日も全体が連動した良いサッカーを展開しました。

4-4-2でコンパクトなラインを作り、中央を塞ぎ、奪った後の鋭いカウンター。抜け目なかった。2ボランチが良い仕事をしていました。

前線も、この能力が高く強力でした。谷口選手、車屋選手も必死に食らいつきましたが、ちょっとの差で決められてしまいました。

フロンターレ攻撃陣は、2点を返したもののまたしても振るわず。

きっちりとブロックを敷かれたディフェンスを崩しきれませんでした。

しかしこれも現実!グループステージ突破がなくなったわけではないので、切り替えていくしかないですね!

というわけで、試合を振り返ってみましょう!

第1節と陣容ほぼ変わらず

では、スタメンの確認です。

フロンターレは前節から3枚変えました。大会通じてDF以外はターンオーバーしながらの起用でしたので、順当といえば順当なスタメンですね。

蔚山は、広州恒大戦の第3節、第4節はほぼ全員メンバーを変えていますので、フィールドプレイヤーは9日ぶりの試合とフレッシュな状態で臨んでいます。

日程、組み合わせの違いにより、選手のコンディションにかなり差はあったと思います。

お互いのマッチアップでいうと、初戦の時のスタメンと陣容はほぼ変わらずといったところです。

前節の連動した前線を今節でも見たかったですが、スタメンに小林選手の名前はありませんでしたね。

この変更が、蔚山としては守りやすかったのではないかなと、私としては感じてしまいました……。

対する蔚山は、前回対戦で守備の形は見えているはずなので、真ん中を締めて外回りにさせる守備で、失点しない組織を形成するはず。

フロンターレはボランチ脇のスペースを上手くつき、前線の連携でポケットを狙いに行きたいところ!

ただ、この守備は今節も効いていたなぁ…。2ボランチがお見事でしたよ…。

結局90分で崩し切らず、力負けといってもよいでしょう。

それでは、いくつかのシーンをピックアップして見ていきます!

良い流れの中での失点

試合序盤はとても良い入りをしました。

前節の勝利そのままに、前からインテンシティ高くプレスに向かっていました。

相手の2ボランチを脇坂選手、遠野選手がチェックし、下りてきたVako選手(10)に橘田選手がプレスに行くことで、中盤で自由にボールを扱わせない守備ができていました。

攻撃でも、マルシーニョ選手を走らせた裏を取り、中でレアンドロ選手に合わせるシーンが見られ、前節同様、裏を意識した縦への速い攻撃を仕掛けることができていました。

そんな中、前半13分に一瞬の隙を突かれての失点を喫してしまいました。

前向きにプレスを行っていた中盤を逆にひっくり返された格好になってしまいましたね…。

Gyusung選手(24)が中間ポジションを取ったことで、中盤の裏のスペースががら空きに

この直前、右から蔚山にカウンターを仕掛けられ、それを一度食い止めた後、逆サイドに展開されてからの失点でした。

遠野選手がスプリントして、相手のスピードを完全に落とし、逆サイドへの展開でも、きっちり守備ブロックを作れていました。

ブロックを作り、Chungyong選手(72)に橘田選手がプレッシャーを掛けて下げさせました。

そして、Yongwod選手(6)にボールが戻り、そのまま橘田選手がプレッシャーを掛け、レアンドロ選手と挟み撃ちをしようとしたところ、Gyusung選手が中間ポジションでフリーになりボールを入れられてしまった。。

その後は全て後追いになってしまったので、CBと蔚山の前線で2対3を作られ勝負ありというところでした。

中盤3人の判断

ポイントはいくつかあったと思います。

①橘田選手がYongwod選手(6)にプレッシャーを掛けにいった判断

②レアンドロ選手のポジショニング

③遠野選手がGyusung選手(24)に飛び出した判断

① Yongwod選手(6)がボールを受けた時点では、中央にスペースがなく侵入を一度諦めています。

作り直そうと後ろ向きにドリブルした時に、前向きのプレスの意識が強い橘田選手と人に対しての守備をかなり意識していたこの日のフロンターレの守備の仕方が相まって、Yongwod選手(6)にそのままついていきます。

そうするとどうなるのか。

中盤3枚でバイタルのスペースを埋めていましたが、橘田選手と遠野選手の距離感がかなり離れてしまい、容易に中間ポジションを取れる状態を自ら作ってしまいました。

Gyusung選手(24)が受けた場所はまさにその場所。

橘田選手が遠野選手と並んた位置にいれば、Gyusung選手にパスが出た瞬間に前向きのプレッシャーを掛けることができ、このエリアで簡単にボールを前に運ばせずに済んだかもしれません。

② しかし、フロンターレの戦術としてYongwod選手(6)を空けないように、であるとか、DFからの指示で前から行け!と言われていた可能性も十分あります。

では、橘田選手が出たスペースを誰かが埋めて簡単に侵入されないようにしなければなりません。

そこで注目したいのがレアンドロ選手です。

この時、橘田選手と一緒にYongwod選手(6)を挟みに行きましたが、そうしたことでGyusung選手(24)へのパスコースの門ができてしまったわけです。

もし、橘田選手と入れ替わるようにして、Gyusung選手につくことができれば、Yongwod選手はDFに下げてもう一度攻撃を作り直す選択をしたかもしれません。

③ とはいえ、FWのレアンドロ選手にこの動きを瞬時に期待してもいいものなのか。

小林選手とはタイプが異なり、前線からの守備が決して上手いとは言い難い選手であるはずです。

そうした時、後ろから状況が見えていた遠野選手の判断はどうだったのか。

遠野選手も、本来のポジションはインサイドハーフです。この時はカウンター対応からそのままポジションに入っているので、橘田選手と一時的にポジションが入れ替わっています。

そのため、細かい判断はやはり難しかったのかもしれません。

Gyusung選手(24)にボールが入った時に「やばい!」と判断し、すぐに前に出てプレッシャーを掛けに行きました。

結果どうなったか。その後ろのスペース(丸で囲われたところ)が完全に空きました。

こうなると、蔚山の前線は力がありますから、ここからの突破は容易にできます。

人数が足りないことを感知し、リトリートしてスペースを埋める選択をすれば、脇坂選手、橘田選手のサポートで難を逃れることができたかもしれませんね。

意思統一された蔚山の守備

この辺りの組織がきちっと整えられていたのが蔚山でした。

19分にカウンターで追加点を奪われる直前の守備を見てみます。

サイドをどれだけ使われても、真ん中では自由にさせない

蔚山は4-4-2のブロックを敷いて、中央のスペースをとにかく消していました。

19分の場面は左からですが、中間ポジションを取りに行った遠野選手、マルシーニョ選手へパスが出た瞬間、ボランチとサイドハーフで一気に囲みに行きます。

逆に、大外にいる佐々木選手に出ても、中央でポジションを取り直しますが、外に強くプレスに行くアクションは行っていません。

あくまで、中へのパスコースを切りながら徐々に距離を縮めていきます。

要は、外回りさせて中にくさびを打ったところを強く抑えに行くということを繰り返し、徹底して行っていたということです。

この場面では、佐々木選手がパスを出すスペースを失い、後ろに下げてやり直そうとしたところをLeonardo選手に狙われ、カウンターを成立させてしまったわけです。

この連携は逆サイドも同じで、中間ポジションを狙ってくる脇坂選手には強く当たりに行きますが、外回りになった時の家長選手、山根選手へはコースを消しに行きながら距離を詰めていく守備を行っています。

レアンドロ選手へのくさびも同じですね。

この組織的な守備を90分、初戦入れて180分やり切ったのです。

ここで鍵になったのは両ボランチ、Yongwod選手(6)とGyusung選手(24)でした。

とにかく横のスライドが早く、肝心の真ん中を自由にさせない距離感が良かったです。

23分にも逆サイドでフロンターレが展開を作りますが、1本くさびが脇坂選手に入ったものの、その後のクロスをYongwod選手が真ん中に構えて跳ね返していました。

得点して無理な攻め上がりを必要としない蔚山だったとはいえ、かなり組織的に作りこんでいることは伝わってきました。

どこで回させるのはOKなのか、どこへの侵入はNGなのか。

両チームとも原則を持っていたはずですが、より徹底して真ん中を閉じた蔚山の守備が勝った90分になりました。

カウンター:使いたいスペースを空けておく

また蔚山は、この引いたブロックからのカウンターも鋭かったです。

蔚山の得点は全てカウンターから始まっていましたね。

後半始まって直後に2回立て続けにフロンターレはカウンターを受けています。

後半開始直後、佐々木選手の裏を突くためにWonsang選手(11)は引いてボールを受けに行く

後半始まって直後のカウンターです。フロンターレは右サイドの前で狭い局面を作ったのですが取り切れず、逆サイドに展開されたところからカウンターを受けました。

この時は、マルシーニョ選手が猛ダッシュで戻ったので難を逃れましたが、直後の46分に遠野選手へのパスが短くなったところを同じようにカウンターで仕留められての3失点目になってしまいました。

蔚山は、チームとしてカウンターの絵を共有できていました。

ひっくり返したSB,CBの裏のスペースに人を流し込むために、そのスペースを前線の選手が空けていたのです。

後半開始直後のこの場面は、真ん中のGyusung選手(24)にボールが入ったところでサイドバックのYoungwod選手(66)が縦にスプリントをし始めました。

この時、ウィングのWonsang選手(11)は逆に引いてうける動きをしています。

ここに佐々木選手が食いついたところを、ワンタッチでYoungwod選手に落としてカウンターを成立させました。

もしワンタッチでシンプルに中のLeonardo選手にパスが渡っていたら、これも失点シーンになっていたはずです。

全員がゴールを目指してしまうと…。

一般的にカウンターに出ようとすると、前線は前へ素早く展開したいので、全体が前掛かりに走っていくのが良く起きる現象です。

しかし、攻撃側が前に来てるので、守備側もそれに合わせて全体が下がるため、ゴール前でDFはラインを作って構えることができてしまいます。

先程の場眼で仮定すると、戻ったDFラインで時間を作られる

戻られたDFラインに全体の戻る時間を作られてしまうと、せっかくのカウンターも中途半端な状態になってしまいます。

そのため、ウィングのWonsang選手(11)は一度引き、佐々木選手の裏、Youngwod選手選手(66)の走るスペースを空ける動きは地味ですが非常に大事な動きなのです。。

このように、自分たちの使いたいスペースはどこなのか、そこをどのようにして使うのかというのを逆算していくと、使いたいスペースにあえて人を置かないことで、相手DFのケアも薄い使いやすいスペースを作ることが可能になっていきます。

一方、フロンターレの前線の動きは

では、フロンターレの前線の動きを見てみます。

後半の64分のシーンを取り上げます。

家長選手がボールを持った時、逆サイドは一斉にゴール方向へ走り込んだ

後半早々に失点を喫し、56分にシミッチ選手、山村選手、小林選手が入り、4-2-3-1のシステムに変更され、より前重心に1点を取りに行く構成に変化させた後のシーンです。

前線の選手が増えましたので、小林選手、レアンドロ選手、マルシーニョ選手でゴールを狙いに行きます。

この意識は何も問題ないですが、問題はゴールを奪うためにどこのスペースを活用するかという意志統一です。

64分のシーンは、家長選手がボールを持った時、センタリングを上げようと中を確認しました。

この時の逆サイドの動きに注目です。

図に書いたように、大外の車屋選手含めて前に走り込んでいます。

攻撃側がゴールに向かえば、守備側もゴールを守りに同じ方向に走るので、その手前のスペース(丸で囲ったところ)が必然的に空いてきます。

ここにマルシーニョ選手やレアンドロ選手が逆の動きをすれば、ゴール前の決定機を作ることができるのです。

しかし、この時ここのスペースを埋めたのは蔚山のGyusung選手(24)でした。深さを取られた後の手前のスペースが空くのを心得た良いカバーリングです。

さらに、Yongwod選手(6)も中にポジションを変え、CBの前のスペースをきっちり埋めていました。

空けたスペースに人を置けなかったフロンターレと、空いたところを察知しカバーした蔚山のちょっとした差がスコアにも表れたのではないでしょうか。

動きで違いを見せられる小林悠

このシーンの後も、前線に人を増やして点を取りに行きますが、

・ゴール方向に同時に動き出す

・ボールを足元で受けようとし、動き出しがない

・競り合ったセカンドボールを取れるポジションに誰もいない

といった現象が起こり、ゴール前まで迫るも点が奪えず時間を進めていきました。

91分にレアンドロ選手が気迫でゴールを奪いましたが、時すでに遅し。

初戦の蔚山戦でも同じような展開がいくつもあったことを踏まえると、やはり前線の人選は一工夫あってもよかったのかなと思います。

レアンドロ選手は真ん中でどしっと構えてボールを受けるタイプですので、前線で動きを加えながらスペースを作ったりボールを受ける役割は小林悠選手の方が適していたのではないでしょうか。

前節でも、右サイドの家長選手、山根選手との連携で違いを生みましたし、この試合の74分にも家長選手とワンツーで中央を突破しかけたシーンがりました。(中央に味方がいなかったので、惜しくも決定機にはなりませんでした)

また64分のシーンのように、前線で押し下げたDFラインの手前のスペースも上手く使いたいです。

この日スタメンの遠野選手は、前線の選手を追い越す動きは多いですが、手前のスペースで受ける動きはあまり多くありません。

この辺りの動きは前節、チャナティップ選手が非常に気の利いた動きを見せていました。

宮城選手で深さを取った右サイドの手前に空いた中間ポジションに積極的に入り、中の脇坂選手、小林選手に配球するシーンはかなりあったと思います。

守備でも、橘田選手の脇のスペースを何度も埋めて、ボックスtoボックスでピッチを走り回っていました。

前節良い連携を見せていたこと、運動量で空いているスペースを作る、使うことがより出来る小林選手、チャナティップ選手を鬼木監督は選択してもよかったと思います。

外国人枠、ローテーションと考えなければならいことが多くて難しい選択ですが、大一番での選択で勝負しきれなかったなと感じました。

グループステージ突破は運次第か

この敗戦により、グループステージ突破はかなり難しい状況になりました。

次節の蔚山とジョホールが引き分けると1位突破の可能性ができますが、基本的には他グループの結果次第で2位突破が可能です。

2位突破の条件は極めて難しく、フロンターレが広州恒大に勝った上で、

・大邱vsライオン・シティが引き分ける

・パトゥム・ユナイテッドvs全南で全南が勝つ

・ユナイテッド・シティvsメルボルン・シティが引き分けない

このすべての条件が整わなければ、2位突破が難しい。

厳しいというかややこしい…。(笑)

ただ、自力で突破が難しくなった以上、手を合わせて拝むことしかできない状況にあるのは間違いない。

次節、広州恒大にどのような人選で来るのか。

勝つことを前提に、若手中心に組んでくれるとそれはそれで見どころが多くなります。

グループステージ突破ができなくても、この後のリーグ戦に少しでもプラスになる戦いを見せて欲しいものですね。

シーズンは長いですから、今後の戦いも変わらず注目していきましょう!!

では今回もこの言葉で…Vamos!フロンターレ!!!

また次節お会いしましょう!!

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